数カ月ぶりの自宅です。
荷物の置き場所が定まりません。
調味料の場所が分かりません。
私が使うタオルは、洗面所のどこに置いたらいいのでしょうか。
我が家で迷子です。
せめて月一くらいでは帰ってこないと、こんなことになってしまうんですね。
とはいえ、娘二人は父の帰宅を喜んでくれています。
「遊んでくれ！」の圧が強すぎます。
姉の方はバレーボールで容赦ないアタックを叩きつけてくる。
妹の方はサッカーボールのスローインを無秩序なタイミングで投げつけてくる。
我が家の細い廊下で、同時に行われます。
腕が2本しかない私には対応しきれません。
同時攻撃で追い込まれる父を見て無邪気に笑う娘二人は、天使なのか悪魔なのか。
抱っこして、おんぶして、肩車して。
おんぶして、肩車して、操縦されて。
肩車して、操縦されて、肩もみしてもらって。
エンドレスの肉体労働と、たまの癒し。
飴と鞭と鞭と鞭で、もてあそばれている感が半端じゃありません。
数カ月の間、一人の休日を堪能してきた父にはハード過ぎます。
それでも夜はやってくる。
自分一人だけじゃない晩ごはんの時間は迫ってくる。
こんなしんどい状況で誰が家族全員の料理なんか作れるっていうんだ！
これまでも、そんな不条理な、夫が不在で家事もままならない状況で、
妻は「ヨシケイ」を利用してどうにか乗り切ってくれていました。
定額でレシピと材料を準備してくれるサービスです。
材料もほとんど下処理が済んでいるという好待遇。
ちなみに今夜のヨシケイメニューはこちらです。
・コロコロかぼちゃとレタスのガリバタチキン
・もちもちだんごのスープ
レシピに記載された調理時間の目安は「約15分」
自炊を経験すると、15分がどれほどあっという間かを痛感します。
娘その二と一緒に作ったので15分は超えましたが、
包丁作業がほとんどないので、子供と作るのも経験しやすいです。
おかげでちゃんと晩ごはんも出来上がって、
みんなで「いただきます」ができて、お腹も満足です。
私は皿を洗います。妻は洗濯物を済ませてくれます。
ようやく一日が終わります。
そして、長かった一日の振り返り日記を書いている現在。
本当に忘れていました。
誰かと過ごすという現実を。
全く自分のペースではない一日を。
この直売所にいけば100円のキャベツが、あの直売所では80円、とか。
あの材料があるからこんな料理を、とか。
そんな普段の些細な喜び。家族の前では無に等しいです。
どうにか今日を過ごした。
一緒に遊んで、ご飯を食べて、
さらには子供が明日の学校の準備まで済ませて。
出来高としては、もう十分過ぎるじゃないですか。
また明日も、電話じゃなくて直接に「父ちゃん！」と呼んでもらえる。
それだけで十分です。
